開催概要

私たちは自分たちの脳のしくみをどこまで理解できているのでしょうか?
病気との関わりはどこまで解明されているのでしょうか?
一緒に、脳とこころの不思議に迫る、最新研究の世界をのぞいてみましょう!

[オンライン開催・参加費無料]
どなたでも参加申込みいただけます。
参加申込みされた方には、脳科学に関する動画を特別に集めた「脳科学YouTube」をご案内しています。

2022年2月6日(日)
・高校生によるプレイベント 10:30〜11:30
・シンポジウム 13:00〜16:45

[登壇者インタビューと当日進行の協力高校]
東京都立篠崎高等学校・北海道札幌西高等学校・愛知県立岡崎高等学校・愛知県立岡崎北高等学校・白百合学園中学高等学校・開智日本橋学園高等学校の有志生徒のみなさん

参加申込み

ごあいさつ

脳科学研究は、ライフステージに沿った脳の機能変化や老化の制御及び発達障害、精神・神経疾患などのメカニズム解明と予防・治療法の開発を可能にするとともに、人工知能 (AI) 等の IT、ロボット技術、身体機能の回復・補完を可能とする技術の開発につながり、かつ社会変容に伴うこころの問題への対処にも貢献することから、国民生活の質の向上に最も貢献できる研究分野の一つです。

令和3年より文部科学省事業「脳とこころの研究推進プログラム」が動き出し、脳機能や疾患メカニズムの解明のための研究開発の加速が期待されています。同プログラムの下で「革新的技術による脳機能ネットワーク全容解明プロジェクト(革新脳)」「戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)」、「精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト」および「領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト」を実施しています。

これらプロジェクトは、平成27年に発足した国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED: Japan Agency for Medical Research and Development)により、「成果を一刻も早く実用化し、患者さんやご家族の元にお届けすること」を目標に掲げ、運営されています。

今回、「脳とこころの研究推進プログラム」の取組をご紹介するオンラインシンポジウムを開催する運びとなりました。たくさんの方にご参加いただき、病気の理解と克服に向けた最新の脳科学研究に触れていただければと思います。

AMED「脳とこころの研究推進プログラム」 革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト 戦略的国際脳科学研究推進プログラム 領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト 精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト

タイムテーブル

10:30 11:30 プレイベント
登壇者インタビュー動画と高校生たちによる「シンポジウムのここがポイント!」を紹介します。
13:00 13:10 開会挨拶
13:10 13:35 基調講演 大隅 典子 先生(東北大学)
「脳をつくる神経幹細胞の不思議な性質」
進行: 東京都立篠崎高等学校の有志生徒
13:35 13:55 トーク① 宮脇 敦史 先生(理化学研究所)
「細胞の心を掴むためのスパイ分子」
進行: 北海道札幌西高等学校の有志生徒
13:55 14:15 トーク② 合原 一幸 先生(東京大学)
「数学で脳を知る」
進行: 愛知県立岡崎高等学校の有志生徒
14:15 – 14:25 休憩
14:25 14:45 トーク③ 永井 拓 先生(藤田医科大学)
「依存症ってどんな病気なの?」
進行: 愛知県立岡崎北高等学校の有志生徒
14:45 15:05 トーク④ 岡野 栄之 先生(理化学研究所、慶應義塾大学)
「遺伝子改変マーモセット技術を用いた神経疾患モデル研究」
進行: 白百合学園中高等学校の有志生徒
15:05 – 15:15 休憩
15:15 15:35 トーク⑤ 林(高木) 朗子 先生(理化学研究所)
「色を操り脳を見る」
進行: 開智日本橋学園高等学校の有志生徒
15:35 15:55 トーク⑥ 三村 將 先生(慶應義塾大学)
「うつ病とその回復過程の脳基盤」
進行: 開智日本橋学園高等学校の有志生徒
15:55 – 16:05 休憩
16:05 16:35 Q&Aセッション
16:35 – 16:45 閉会挨拶

登壇者紹介

  • 13:10 - 13:35
    大隅 典子(おおすみ のりこ)先生
    東北大学大学院医学系研究科 教授
    基調講演「脳をつくる神経幹細胞の不思議な性質」

    私たちの「こころ」に関わる「脳」をつくる元の組織には「神経幹細胞」というタネの細胞が存在しています。脳の発生過程において、神経幹細胞は脳の原基の放射方向に長い突起を伸ばしており、分裂して自身と同じ幹細胞の数を増やしますが、後には分裂して生まれる片方の娘細胞であるニューロンが脳の表面側に向かって登っていくための足場ともなります。講演ではこのような神経幹細胞の持つ不思議な性質について紹介します。

  • 13:35 - 13:55
    宮脇 敦史(みやわき あつし)先生
    国立研究開発法人理化学研究所
    脳神経科学研究センター チームリーダー
    光量子工学研究センターチームリーダー
    トーク①「細胞の心を掴むためのスパイ分子」

    光る生物をご存じですか?日本国土にも棲息するクラゲ、サンゴ、ウナギ、ホタルなどには、光を吸収したり放出するタンパク質を作るものがあります。それらは蛍光タンパク質や発光タンパク質と呼ばれています。私たちは、そうしたタンパク質を材料に、細胞の心を掴むためのスパイ分子を開発しています。さらにスパイ分子を活用して動物体内の現象、特に脳における神経活動を観る技術を開発しています。

  • 13:55 - 14:15
    合原 一幸(あいはら かずゆき)先生
    東京大学特別教授/名誉教授
    トーク②「数学で脳を知る」

    数学は社会のいろいろな所で役に立っていますが、脳を知る上でもたいへん貢献しています。このトークでは、数学が脳を知るためにどのように役に立つのか、ノーベル賞受賞に結び付いた方程式であるホジキン・ハクスレイ方程式などを具体的に示しながら、説明します。また、脳と人工知能の関係についてもお話しします。

  • 14:25 - 14:45
    永井 拓(ながい たく)先生
    藤田医科大学精神・神経病態解明センター
    神経行動薬理学研究部門教授
    トーク③「依存症ってどんな病気なの?」

    依存症は生活や身体への悪影響を認識しているにもかかわらず、快感を求めて薬物摂取や特定の行為をし続ける病気です。依存が形成されると、自分の意志だけでは止めることができません。代表的な依存症として薬物への依存がありますが、この他にもお酒、ギャンブルやゲームなどの私たちの身の回りにある環境が依存症に繋がります。なぜ依存症になるのか、依存状態の脳で何が起きているのかについて考えてみましょう。

  • 14:45 - 15:05
    岡野 栄之(おかの ひでゆき)先生
    国立研究開発法人理化学研究所
    脳神経科学研究センターマーモセット神経構造研究チームチームリーダー
    慶應義塾大学医学部生理学教室教授
    トーク④「遺伝子改変マーモセット技術を用いた神経疾患モデル研究」

    私達は、2009年に遺伝子改変マーモセット技術の開発に成功しました(Sasaki et al., Nature, 2009)。そして2014年から始まった「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」で、この技術を用いてヒトの神経変性疾患であるパーキンソン病と、神経発達障害で自閉症様症状を示すレット症候群のモデル動物の作成と解析を行いました。シンポジウムでは、これらのモデルを用いた人の疾患の病態解析と考えられる治療法開発についてお話致します。

  • 15:15 - 15:35
    林(高木) 朗子(はやし たかぎ あきこ)先生
    国立研究開発法人理化学研究所
    脳神経科学研究センター 多階層精神疾患研究チームチームリーダー
    トーク⑤「色を操り脳を見る」

    私たちの心の座はどこにあるのかと考えた場合、おそらく脳がその多くの機能を担うでしょう。しかし脳という「物質」がどのように心という「精神」を作るのか?心の仕組みなどという「目にも見えない」難問に挑戦するためには、神経回路、そして、神経細胞の連絡部位であるシナプスという微細な構造を、すべて「目に見えるもの」にしてしまえば良いと考えました。使われた神経が、書き込まれたシナプスが多色で染め上がり、神経回路を形作っていく様子を、そしてこのような「見えなかったもの」を「見てしまう」ための、2軸2光子励起顕微鏡の開発について紹介します。

  • 15:35 - 15:55
    三村 將(みむら まさる)先生
    慶應義塾大学医学部 精神・神経科学教室教授
    トーク⑥「うつ病とその回復過程の脳基盤」

    うつ病は心理的にも社会的にも影響の大きな病気ですが、どのような脳の変化がうつ病を引き起こすかはまだよくわかっていません。また、うつ病の治療法には薬物療法や心理療法、脳を電気的に刺激する方法などがありますが、これらがどのような脳機能の変化を引き起こしてうつ病が回復していくのかも謎が多い領域です。私たちは、MRI(核磁気共鳴画像)による脳画像を用いたアプローチで、これらうつ病の発症と回復過程の脳内変化を明らかにしようとしています。

高校生による
登壇者インタビュー動画

将来の脳科学研究を担う世代である高校生が、登壇者に事前インタビューした様子を動画で紹介します。当日のプレイベントでは、登壇者インタビュー動画と高校生たちによる「シンポジウムのここがポイント!」を紹介します。

公開準備中

脳とこころの研究推進プログラム

本プログラムで取り組んでいるプロジェクトをご紹介します。シンポジウム登壇者はこれらプロジェクトにおいて、最新の脳科学研究を進めています。

革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト(革新脳)

[2014年度〜]
革新脳は、霊長類の脳を対象とした研究を軸に、認知症や統合失調症などの脳疾患と神経ネットワークとの関係性を捉えるため、基礎研究と臨床研究の連携によって推進されているプロジェクトです。
日本の強みである革新的な技術開発も同時に進めつつ、精神・神経疾患の克服につながるヒトの高次脳機能の解明のための基盤を構築することを目的として実施します。

戦略的国際脳科学研究推進プログラム(国際脳)

[2018年度〜]
国際脳は、世界各国の大型国家プロジェクトとして進められている脳科学研究との連携を強化し、世界の脳科学研究の発展に貢献することを目的としたプロジェクトです。
ヒトの健常から疾患に至る脳画像等の総合的解析、AIによる脳科学関連の技術開発、ヒトと非ヒト霊長類動物との神経回路比較研究を推進することで、人間の心を生み出す知性、感性や社会性などのしくみを神経回路レベルで解明し、精神・神経疾患の早期発見、早期介入に導くことを目指します。

精神・神経疾患メカニズム解明プロジェクト(疾患メカニズムPJ)

[2021年度〜]
疾患メカニズムPJは、精神・神経疾患の理解と克服に不可欠な、脳の動作原理の構造的および生理的な解明を目指したプロジェクトです。 遺伝子レベル、分子レベルの解析と、多数の症例の臨床経過を追跡する研究(コホート研究)のデータを連結し、双方向からの研究を進めることにより、疾患克服の基盤となる脳細胞や神経ネットワークの機能解明が期待されています。加えて、ヒト臨床リソース・データを活用する研究基盤強化、および脳研究の倫理に関する研究を実施します。

領域横断的かつ萌芽的脳研究プロジェクト(横断萌芽PJ)

[2021年度〜]
横断萌芽PJは、領域横断的な脳科学研究を推進し、脳科学研究におけるイノベーション創出に向けて萌芽的な研究開発に取り組むことを目的にしたプロジェクトです。
精神・神経領域における疾患の理解と再定義、診断・治療法開発での困難を克服するブレークスルーによって、社会への貢献を見据えた脳科学に資すると期待されます。若手研究者枠を設定し人材育成にも取り組みます。

脳科学YouTube

参加申込みされた方には、2月6日の視聴サイトに加え、脳科学に関する動画を特別に集めた「脳科学YouTube」をご案内しています。 ぜひお申込みください。